本村 龍次(もとむら りゅうじ)
農家としての心構え「こだわらないことこそ我がこだわり」
本村さんは代々農家の家系に生まれましたが、都会への憧れが強くエリートビジネスマンになるのが夢で、農家を継ぐつもりはまったくなかったそうです。
そのため、地元島原の普通高校に入って学業に励むも大学受験が思い通りにいかず、農業しか選択肢がなく⻑崎県の農業大学校に進学。2年間の勉強を経て20歳で帰郷、父のもとで就農を果たしました。
20歳から30歳の時は周りとの交友関係はなく、農作業に没頭。本村農園は大規模農家なので取引先の業者に持ちあげられ、ちやほやされ、自身が技術的にどのレベルにいるのか客観的に評価を受けることがなかったそうです。
こうした中、30歳を過ぎて地元のトマト生産者から「スマート農業の現地視察に一緒に行こう」と声をかけられ勉強会に参加した際、自身の技量、生産技術力の無さに直面しました。本村さんが育てているトマトの花と、篤農家のトマトの花がまったく異なり、実のなる花一つとってもコントロールできる先輩農家の技術レベルの高さに驚愕。「このままでは本当に美味しいトマトは作れない」と自己啓発を行うように。
心境の大きな変化は、地元南島原のトマト部会で台頭する同年代の2名のトマト生産者の存在。一人は職人気質で部会ナンバーワンの技術力を誇るD氏で、もう一人は農業とは関係ない仕事から脱サラして就農し、研究を重ねて見る見るうちに頭角を現すR氏。
「このままでは彼ら2人との間で大きな差がつく。負ける訳にはいかない」と今までの意識を改め、生産計画の抜本的な見直しを図ることで、すべてのハウスで安定した収穫量を確保できるようになりました。
こうした中、施設野菜部門で⻑崎県の島原地域農業振興協議会⻑賞を受賞することに。
本村さんの強みは作付面積180aの絶対的な物量ですが、小規模農家に比べて作付面積に応じた肥培管理、オペレーションがより強く求められます。ただ単に収穫量を増やすことだけを追求すると品質が低下しやすくなってしまうことから、全体のバランスを見ながら生産規模に合わせた、経営者としてのオペレーションを行うことが重要です。
34歳までは⻑崎県の⻘果市場のみに出荷していましたが、35歳のときに地元の有機生産組合(有機農産物を生協向けに出荷)に声をかけられ出荷開始。1圃場を選定して有機を土台とした生産方式に切り替えるも、最終的にほかの圃場に比べて収穫量が低かったことから、根本的に土づくりを見直し、新たに3圃場を選定して生産開始。安定生産レベルの大きな向上を果たしました。
本村農園の強みは毎年12品種ものトマトを植え付け、客観的な評価を得るために取引先を集めて食べ比べを行なっていることです。食味・食感のバランスを見ながら品種選定を行い、消費者に最高品質の農産物を提供すべく努力を積み重ねています。
こうした中、収穫量が評価の中心である現在の流通方式に対し「量より質を追求し評価を得たい」と心境が大きく変化。
市場や生産組合の評価がどれだけ高くとも、消費者の顔が見えない状態はいかなるものか。「美味しい」という消費者の直接の声こそ自身が求めるものであると確信し、極鮮マートへの出品に踏み切りました。
「本当に飽きないトマトを食べつづけて私の進化を感じてほしい」とは本村さん談。トマトの食味は糖度と酸度のバランスにあります。もう一個食べたくなる、明日も食べたくなるトマトこそが本当に美味しいトマトであり、そのためには果実中にアミノ酸がバランス良く含まれていることが必要不可欠です。
特にトマトは育てる人によって食味・食感の評価が大きく異なる野菜。果実の表皮は硬すぎず柔らかすぎず、偏らないことが大切で、中央値をいく肥培管理こそが多くの消費者に喜んでいただくトマトです。すなわち「こだわらないことがこだわり」 ともいえます。冒頭でご紹介した本村さんのモットーは、こちらが由来となっています。
本村農園のこだわり
⻑崎県特別栽培農産物の基準で栽培
⻑崎県特別栽培農産物認証以上の基準値を設けて生産を行なっており、現在、認証取得手続きを行なっています。(2025年取得予定)
安心・安全をテーマに農産物の品質向上を実現しています。
高品質のトマトを安定して生産できる企業体制
トマトだけで180aの作付面積を有し、取引先の要望に応え得る安定供給を実現しています。
土づくり
土壌のバランスを整える有用土壌生物と有用微生物の餌となる有機物を投入。液肥には動物由来を含まない全植物由来のアミノ酸、フルボ酸資材を活用し、土壌の力を最大限高めて根の張りやすい環境を整え、植物が健全に育つことのできる圃場づくりを実現しています。
本村農園の作物はこちらから!