片山 隆広(かたやま たかひろ)
農家としての心構え「人の健康に向き合い本当に美味い健康な小玉スイカ、肥後グリーンメロンをお客さまに食べていただくことが我が喜び」
片山 隆広さんは、全国屈指のスイカ産地、熊本市北区植木町にある、明治以来100余年つづく篤農家の四代目です。
父の安一さんは小玉スイカ、肥後グリーンメロンづくりの「生きる伝説」にして、片山家三代目当主。就農して55年、「昨年を超える美味しい果実」を追及し、75歳を迎えた現在もなお、栽培の奥深さを痛感しながら、隆広さんと共に精魂込めてスイカ、肥後グリーンメロン栽培に取り組んでいます。
片山農園のこだわりはまさに土づくりです。すべての作物は元気で力強い根を張ることから。スイカ、メロンをはじめ、セロリ、ブロッコリー、キャベツ、ホウレンソウ、大根、ナスと栽培を行う中でたどり着いた答えです。
先祖代々引き継がれてきた「畑」を大切にしながら栽培に邁進しつつ、お客さまと片山農園「小玉スイカ・肥後グリーンメロン」とのご縁が素晴らしいものであることを願って今日も真摯に畑と向き合っています。
片山農園が小玉スイカで有名になるまでをお伝えします。
約30年前、まだ安一さんがスイカを作り始めて3年目のころ。当時は篤農家としての力量を有するものの、他者の意見を聞かずに春スイカが全滅。危機を覚えた安一さんは、小玉スイカで有名な群馬県の藪塚町に見学に行きますが、地元の生産者より「熊本では小玉スイカは作れない」と一刀両断されます。
悔しい思いの安一さんは熊本に戻り、試行錯誤を行いました。
最初はカンピョウに接木して挑戦しますが、⻘枯れ病がひどく失敗。しかしながら、安一さんは失敗しても「美味しい小玉スイカを作りたい」という夢に向かって奮励努力しました。
ある時、熊本県益城町で野菜の接木にトウガンを使っているとの情報を得てトウガンに小玉スイカの芯を接木してみたところ、 美味しいスイカを作ることに成功。
スイカは連作ができない品目ですが、3~6月にかけて小玉スイカを接木するという安一さんならではの技術を確立しました。今や日本全国のスイカの生産者では周知の事実ですが、トウガンに小玉スイカを接木する技術の生みの親こそ安一さんなのです。
接木を行うことで同じ場所で同じ作物をつづけて栽培する「連作」が可能になります。小玉スイカとトウガンがドッキング(結合)するには、温度が30℃前後、湿度が90~100%の環境が必要です。接木後の3~4日間は30℃をキープするため、20分おきに温度計を確認。定植から約40日で交配を行います。
小玉スイカの交配は、1つ1つ手作業で雄花の花粉を雌花につけていく大変手間のかかる作業。交配して数日は、その後の生⻑に大きな影響を及ぼすため、温度管理など特に気を配る必要があります。
「最初は技術を独り占めしてもいいかもしれないが、一人の力には限界がある」「農業は一人ではできない」「植木を小玉スイカの産地にするには、周りの人と一緒に作り上げていくことが大切」こうした考えのもと、安一さんは地元で勉強部会を設立し、トウガンに接木する技術を共有しました。
はじめは7から8人ほどの参加者でしたが、その後「小玉会」と名前を変え、小玉スイカ「ひとりじめ」を皆で作り上げていくことになりました。このようにして栽培ノウハウを独り占めせず、皆に教えて互いにスイカの質を高めた結果、片山農園が小玉スイカで有名に、ひいては植木町が日本一のスイカの産地になることに繋がったのです。
こうした父の偉業を受け継いで、スイカづくりに勤しむ男こそ四代目園主の隆広さん。就農3年目にして既に父と肩を並べる栽培技術で、見事な小玉スイカを生産している実力者。
隆広さんは高校進学時に父の安一さんから「いずれ経営移譲をする時がくる。その時に農家ではなく農業経営者として成功せよ」、「既存の農協出荷とは別のルートを創り上げないと経営自体が成り立たない」との意向を受け、熊本県立鹿本高等学校普通科に進学します。
父の心の内としては「数値に強くない農業経営者でないと今後は厳しい」、「自分は農業を教えることはできるが、経済やマーケティングに熟知している訳ではないので、商学の専門知識を身に付けてほしい」との思いが強かったのです。
高校で基礎知識を得たあと、福岡大学商学部に進学。在学中の4年間で簿記学、会計学の専門知識を身に付けて、いざ就農しようと父に相談したところ、「就農時期は今ではない、就職を考えろ」との指示がありました。就職難で厳しい時代であったため、収入面で安定感のある地方公務員、商業の教員免許を取得し、23歳より熊本県下の商業高校において簿記学、会計学専門で教鞭を取りました。
教師としての業務を果たしていく中、平成から令和へと時代が新しくなるにつれて少子化で商業高校の定員割れが増加し、入学してくる生徒の学歴差が開き、ただ単に知識を与えるだけの教育方針が難しくなったことから、41歳の時に隆広さんの主導で既存の商業科、情報処理科を改変し、新たにビジネスマネージメント科を設立し、知識修得優先から人材形成優先の教育システムにシフトしました。
43歳の時、熊本地震が発生。教育現場として何かのアプローチを行うべきとの意向の強かった隆広さんは、新学科1期生が卒業する年に熊本県玉名市の特産物を地元業者から仕入れて熊本市内で販売する取り組みを企画しました。
生徒自らが動き、現場交渉から販売に至るまでを実行、その売上のすべてを復興寄付金として被害者に充当することで社会貢献活動を行い、内外共に高い評価を受けました。
こうした教職としての実績を積み重ねた隆広さんでしたが、48歳の時に農業への転職を決意。
教職としての一定の責任を果たしたという自負と父の年齢を考慮し、「我が人生をアグリビジネスにシフトする」との強い気持ちで英断。同年3月、関係者皆が「心豊かな先生が辞められては困る」と慕われ惜しまれつつ、25年間に亘る高等教育現場に終止符を打ち、49歳で晴れて小玉スイカ、肥後グリーンメロンの生産者として就農を果たしました。
父に指導を仰ぎつつ51歳の現在、僅か2年間で育苗と栽培管理のすべてを任されており、52歳になる来年、父の安一さんから本格的に経営移譲を行う予定です。
片山農園の小玉スイカ、肥後グリーンメロンは一度販売すれば瞬く間に売れてしまうことでも有名で、RKK熊本放送にて令和5年3月23日放映の「THE TIME 出張安住がいく〜熊本編」では安住紳一郎アナウンサー自らが圃場に足を運び、片山農園の小玉スイカを紹介しています。
また、安一さんは妻の百合子さんと共に熊本県知事、九州農政局⻑より平成16年度第45回熊本県農業コンクール大会自立経営部門にて優賞を受賞。平成29年には普及指導協力委員として熊本県知事より感謝状を受け、さらに令和2年には地元農協の小玉スイカ部会より最優秀賞を受賞しています。
片山農園の小玉スイカ、肥後グリーンメロンを食べた者の皆が皆、「美味い、春になって片山さんの小玉スイカを食べないと意味がない」と評価。決して単発ではない、積み重ねてきたブランド力によって得られた固定ファンが非常に多く、代々積み重ねてきた片山親子の精神性が人気の高さに直結しています。
こうした中、「ネット環境で全国のお客さまに我が子のように育て上げた小玉スイカ&肥後グリーンメロン、その名も野鞠(のまり)をお届けしたい、食べて評価してもらいたい」と極鮮マートへの出品に踏み切りました。
寒暖差の激しい盆地の植木町で栽培された小玉スイカは「採れたて」が一番美味しく、通常の大玉スイカと違って冷やさずに、すぐに食べることが重要です。
小玉スイカ、肥後グリーンメロン共に果実が大きくなると、地面に直接当たらないように下敷きをすることで、下部まで糖度が行き渡って甘くなります。こうした手間のかかる栽培管理によって極上の果実ができるのです。
外皮が薄いので、最後まで高糖度の小玉スイカを堪能できるのも「野鞠」の特⻑。
スイカの旬は夏と思われる方が大多数ですが、実際には夏スイカよりも春スイカの方が断然美味しいです。なぜなら梅雨入りまでに収穫を行う春スイカは糖度がのりやすく、夏スイカよりも中身の詰まった果実になりやすいからです。
肥後グリーンメロンはスイカとは逆で、お手元に届いてから3~5日間常温で保管してから冷蔵庫に入れて食すと非常に美味しく、常温で追熟処理を施してから食べる点は小玉スイカとは異なります。
日本一美味しい小玉スイカ、肥後グリーンメロンを目指し、「美味い果実を作りたい、人の心身共に幸せにしたい。ピュアな本質的な美味さを引き出したい」と語る片山さん。極鮮マートの皆さまには秀品しかお届けしません。「野鞠(のまり)」の名を冠する小玉スイカ、肥後グリーンメロンはまさしく特級品です。
片山農園のこだわり
果実の着果位置こそ片山農園ブランドの要
片山農園の小玉スイカは子づる3仕立てで、20~24節間の3~4番花の雌花を6花交配して最終的に1株当たり2果採りを行います。3~4番花への交配作業は7~9日間を要し、慎重さが求められます。
小玉スイカの場合、子づる8節目に1番花、更に14節目以降に2番花が着花します。この1、2番花に交配を行うと草勢が強すぎて果実が二次肥大し、空洞果となって低品質になってしまうことから、節数を多く、つるを伸ばした上で交配を行わざるを得ません。小玉スイカは交配後42日前後で収穫を行います。
肥後グリーンメロンは子づる2仕立てで18~20節間の雌花を6花交配して最終的に1株当たり2果採りを行います。雌花への交配作業は7~8日間を要し、こちらも同じく慎重さが求められます。肥後グリーンメロンは交配後50日前後で収穫を行います。
小玉スイカ、肥後グリーンメロン共に葉枚数の確保が糖度向上の要で、葉枚数を確保することで自然と根域の確保に繋がり、葉からの光合成産物を果実に養分転流させて美味しい、かつ健康な果実を収穫することができるように。子づるの雌花に着果させる節位こそが、高品質な商品を創り上げるための要となるのです。
追熟を止める究極の栽培技術
片山農園は、地元の直売所で小玉スイカを販売していることから、雨天時などは直売所に顧客が来ないケースも十分あり得ます。こうした悪天候時でも収穫間近のスイカは熟度が進み(=腐敗が進む)、商品価値が大幅に落ちてしまうのですが、片山農園は安一さんが完成させた秘伝の品質維持技術があり、一時的に熟化を止めることができます。
この技術は収穫直前ではなく収穫の相当前に行う技術で、よくスイカを観察して未来の天候を読む底力がないと実現できないため、誰しもが簡単にできるものではありません。
小玉スイカは晴れていれば毎日光合成を行なって生育ステージは進んでいくことが普通ですが、熟化を進ませない当技術によって最適日に最高条件で小玉スイカを収穫できる点は片山農園ならではです。
土づくり
毎年、高品質の中熟の牛糞堆肥30トンを入手し約2年間かけて完熟堆肥化、圃場にすき込んで究極の土づくりを行なっています。元肥は魚粉とリン酸系肥料、苦土石灰のみと限られており、毎年地力を高める土づくりテクニックによって小玉スイカ、肥後グリーンメロンの根が好む土壌環境を整えています。
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