田上 勝(たのうえ まさる)
農家としての心構え「俺が俺がの我を捨てて、お陰お陰の下で生きる」
田上さんは代々農家の家系に生まれ、幼少時代から農繁期は手伝いで多忙を極め、休めない毎日を過ごしました。なりゆきで地元玉名の総合高校園芸科学科に入りましたが、当時は家業を継ぐ気はまったくなかったとのこと。
ご自身の性格は職人気質との自負から、高校卒業後は実家を離れて建築関係の職場に就職。その後、造園会社に職を移し、顧客から数々の信頼と評価を得て独立を考えましたが、32歳の時に熊本国体を境に造園業が下火になってきたのも相まって、農家としての初心に立ち返り思い切って帰郷。
ご両親のもとで僅か1年間の修業後、33歳の時に経営移譲、独立。晴れてナス、不知火の生産農家として就農を果たします。就農当時、2歳年上の先輩の⺟親の「勤め人は楽、農家は自然相手だから大変、頑張ったからといって収入が増える訳ではない。我が息子は就農して10年にもなるがまだまだ半人前」という言葉に憤怒し、「息子と俺を一緒にするな、3年で必ず結果を出す」と周囲に宣言し、秀品ナス生産の技術向上に邁進。
その結果、見事3年目にして地元ナス部会で収穫量、kg単価ともに1位となり、それ以降も地元でNo.1の地位を保ちつづけています。
また、不知火は実家横の、土壌ミネラルたっぷりの傾斜地を利用して育てています。平坦地に比べて、傾斜地は立体的に光が差し込み葉に太陽光が満遍なく当たる他、降雨の後に水が速やかに下方に流れるため、適度な水分ストレスがかかり、より糖度が上がりやすくなります。
不知火栽培における田上さんの真骨頂は収穫後の保管にあります。年内に収穫した不知火は暫くミカン箱で保管した後、田上家直伝の蔵に並べて不知火に最適な温湿度条件のもと4月下旬まで保管し、糖度と酸度のバランス(糖酸比)を最高の状態に整えてから5月上旬に出荷を行います。
この工程を「追熟」といいますが、収穫して5か月以上も追熟に時間をかける大変時間と手間のかかる作業を行うことで、最高の不知火ができあがります。
こうした中、収穫量が評価の中心である現在の流通方式に対して、「量より質を追求し評価を得たい」と心境が大きく変化。
農協や市場の評価がいかに高くとも、消費者の顔が見えない状態はいかなるものか?「美味しい」という消費者の直接の声こそ田上さんが求める本来の姿との確信に至り、「全国のお客さまに我が子のように育て上げたナスと不知火をお届けしたい。食べて評価してもらいたい」と極鮮マートへの出品に踏み切ることとなりました。
田上さんの根底には「一つを極められない者は何をやっても成功しない」という考えがあります。ナスは一見にして味に大きな差異はないと思われていますが、本当に美味しいナスはえぐみが少なく、リンゴの香りを漂わせながら生で食べられるほどです。
甘さという基準で評価を受けにくいナスをただひたすらに作りつづける。日本一美味しいナスを目指し、「ナスは調理して食べるもの。生ではえぐみが酷く食べられない」という一般常識を根本から覆す。極鮮マートの皆さまには秀品しかお届けいたしません。
また、不知火は「栽培方法」と「蔵追熟」を組み合わせた田上農園独自の手法で育てており、一般的な不知火とは食べた瞬間の食感とそのあと口の中いっぱいに広がるジューシー感に大きな違いがあり、もう1個、またもう1個食べたいという気持ちが湧き出るほどです。こちらも極鮮マートの皆さまには秀品しかお届けしません。ナスと不知火をセットにして極上のスペシャルセットをお届けします。
田上農園のこだわり
樹を見る
ナスは言葉を語れない赤ちゃんそのもの。毎日ハウスに出向いてよく観察し、ナスの表情をみて僅かな変化を見逃さず察知して手助けを行なっていきます。ナスは素直なので、対処方法を誤るとすぐに悪い方向に樹が変化します。
「栽培において、勘に頼ることは最終手段であり、日々の生産から常にイノベーションを行い、思い描いたヒラメキを具現化していくことが美味しいナスを作る絶対条件」とは田上さん談です。
IPM技術(天敵)を活用
有用微生物をナスに散布しても、ひとたび殺菌剤を使用すると有用菌が死滅し、本来の効果はリセットされてしまいます。天敵を上手く活用することで、従来は週に1回散布しなければならなかった殺菌剤の使用が月に1回で済むようになり、農薬使用量を抑えています。
不知火は、「蔵入り&蔵出し熟成技術」を活用
不知火の収穫時期は12月~4月であり、通常ハウス栽培による早出しが12月~2月、 露地栽培型(屋外での栽培)が2月~5月、完熟栽培型が4月以降に流通します。旬の時期は3月~5月といえます。ただし収穫直後は酸味が強いため、数週間から⻑くて1か月ほどミカン箱で貯蔵して、酸味が抜けてから出荷されます。
早出栽培はシーズンを先取りして珍しい反面、まだ酸味が抜けておらず食味としては美味しくありません。完熟栽培はその点を補うことが目的で、樹上で甘味が増すまで収穫せず完熟させる手法と、収穫後に専用の貯蔵庫で追熟させる手法があります。
しかし前者は落果や寒波による品質低下のリスク、後者は貯蔵中にカビが発生して商品にならないリスクが存在し、いずれも高い技術を必要とすることから、市場に出回る絶対量が少なく貴重な不知火となります。
こうした中で、田上農園の不知火は露地環境で健康に育った不知火を12月下旬に収穫後、一つ一つ丁寧に気密性の高いフィルムに包んで5月上旬まで4か月以上をかけて先祖代々秘伝の蔵で保管し、追熟させてから出荷するという、非常に手間のかかる生産を行なっています。
こうすることで酸味が甘味にかわり、極上の不知火をお客さまのお手元に届けることができるのです。
化成肥料を多用した大量生産を目的とした栽培では果実内の硝酸態窒素濃度が高く、⻑期保管すると腐ってしまい、まったく商品になりません。さらに田上農園では収穫後に専用の蔵に並べ不知火に最適な温湿度管理を行うことで、腐敗しない且つ糖度の高い不知火ができあがります。
何故フィルムに包むかといえば、4か月間以上も保管することから、水分が飛んで鮮度が低下しないよう細心の注意を払っているからです。もう一つの理由は、万が一果実が腐敗してしまった場合も病気が蔓延するのを防ぐためです。こうした地道な努力の積み重ねにより、極上の不知火ができあがります。
こだわりの土づくり
土壌のバランスを整える有用土壌生物と有用微生物の餌となる有機物(良質な馬糞堆肥)を投入、液肥には動物由来を含まない全植物由来のアミノ酸、フルボ酸資材を活用し、土壌の力を高めて根の張りやすい環境を整え、植物が健全に育つことのできる圃場づくりを実現しています。
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